【法人税の実務講座①】別表四の書き方・記入例をわかりやすく解説

別表四は、法人税申告書の「心臓部」です。会計の当期純利益を出発点に、税法独自の加算・減算を行って、課税所得を導き出す――いわば「当期純利益→所得金額」への変換表。ここが書ければ、申告書づくりの大半は越えられます。

この記事は、基礎講座(とくに第3回の課税所得、第7回の別表四、第8回の別表五(一))を理解している前提で、別表四を「実際に書く」ことに絞って、体系的に解説します。様式のどこに何を書き、どの数字を他別表から持ってくるのか。そして、多くの人がつまずく「留保/社外流出」の区分と「納税充当金」の処理を、記入例つきで押さえていきます。

目次

1. 別表四の全体像 ― 3列で組み立てる「変換表」

別表四は、正式名称を「所得の金額の計算に関する明細書」といいます。縦の流れは、当期利益(出発点)→ 加算 → 減算 → 所得金額(ゴール)。横は、必ず3列で構成されます。

  • 総額① … その調整の全額。
  • 留保② … 会社内に残り、将来解消されるズレ(一時差異)。別表五(一)に連動する。
  • 社外流出③ … 会社外へ出て戻らない、永久に解消されないズレ(永久差異)。別表五(一)には影響しない。

この3列には、つねに「総額① = 留保② + 社外流出③」という関係が成り立ちます。まずこの構造を押さえておきます。

実務でまず意識すべきは、別表四は最後に作るということです。加算・減算の数字の多くは、別表五(二)(租税公課)、別表十六(減価償却)、別表十五(交際費)、別表八(一)(受取配当)といった他の別表で計算した結果を転記してきます。だから、これらの明細書を先に仕上げ、最後にその結果を別表四へ集約する、という順番になります。また、海外取引などの特殊な調整がない中小企業は、項目を絞った簡易様式を使えます。国税庁も、特殊な事項のない法人には簡易様式を案内しています。本記事も、この簡易様式で足りる範囲を中心に解説します。

別表四の構造 ―「当期純利益 → 所得金額」への変換表 他別表で計算した結果を集めて、加算・減算し、所得金額を出す 当期純利益(税引後) 損益計算書の最終行=出発点 + 加算 損金不算入・益金算入 − 減算 損金算入・益金不算入 = 所得金額 別表一へ渡す 別表一 (税額計算) 他別表で先に計算 → 別表四へ転記 別表五(二) 租税公課(税金) 別表十六 減価償却 別表十五 交際費 別表八(一) 受取配当 別表七(一) 繰越欠損金 横は必ず3列 総額① = 留保② + 社外流出③ 留保② → 別表五(一)へ連動  (将来戻る一時差異) 社外流出③ → 流出して戻らない  (永久差異。別表五(一)に影響しない) ※ 別表四は他別表を仕上げてから最後に作る。中小は簡易様式が使える

▲ 別表四の構造を示した図。損益計算書の当期純利益(税引後)を出発点に、加算(損金不算入・益金算入)と減算(損金算入・益金不算入)を行って所得金額を出し、別表一へ渡す縦の流れと、総額①=留保②+社外流出③という3列の横の構造を表す。加算・減算の項目は、別表五(二)・別表十六・別表十五・別表八(一)・別表七(一)などの他別表から転記される。

いちばん上の区分1「当期利益又は当期欠損の額」には、損益計算書の最終行=税引後の当期純利益を、総額①と留保②に記入します(配当を支払っている場合は、その額を社外流出③に書き、残りを留保②に入れます)。出発点が税引後である点は、あとで効いてきます。

2. 「留保」と「社外流出」の区分 ― 実務最大の落とし穴

別表四でいちばん間違えやすいのが、各調整を留保②に入れるか社外流出③に入れるかの判断です。ここを誤ると、別表五(一)との検算が合わなくなります。

判断の軸はシンプルです。その調整が会社の純資産(利益積立金額)を増減させ、将来解消するなら「留保」。会社の外へ出て戻らず、純資産に影響しないなら「社外流出」です。

そして、実務で最も誤りやすいのが、法人税・住民税の扱いです。「税金だから社外に出ていく=社外流出」と思いがちですが、損金経理した法人税・地方法人税・住民税の加算は「留保」です。これは、未払分が「未払法人税等(納税充当金)」として会社内に残り、別表五(一)に引き継がれるためです。一方で、社外流出になる代表項目は、交際費等の損金不算入、役員給与の損金不算入、受取配当等の益金不算入、そして延滞税・加算税などの附帯税です。下の早見表にまとめます。

項目(別表四の区分)加算・減算留保/社外流出おもな転記元
2 損金経理をした法人税・地方法人税・防衛特別法人税加算留保別表五(二)
3 損金経理をした道府県民税・市町村民税加算留保別表五(二)
4 損金経理をした納税充当金加算留保別表五(二)
5 損金経理をした附帯税・加算金・延滞金・過怠税加算社外流出別表五(二)
6 減価償却の償却超過額加算留保別表十六
7 役員給与の損金不算入額加算社外流出別表四で直接
8 交際費等の損金不算入額加算社外流出別表十五
12 減価償却超過額の当期認容額減算留保別表十六
13 納税充当金から支出した事業税等の金額減算留保別表五(二)
14 受取配当等の益金不算入額減算社外流出別表八(一)

▲ 別表四の代表的な加算・減算項目の早見表。留保と社外流出のどちらに区分されるか、どの別表から転記するかを示す。法人税・住民税・納税充当金・減価償却超過額は留保、交際費・役員給与・受取配当・附帯税は社外流出。迷ったら「このズレはいつか戻るか」で判断する(戻るなら留保、戻らないなら社外流出)。区分番号は令和8年4月1日以後終了事業年度分の様式による。

なお、この留保/社外流出は、会計でいう一時差異・永久差異とほぼ対応します。留保は将来解消される一時差異(税効果会計の対象)、社外流出は永久に解消されない永久差異(税効果の対象外)です。区分に迷ったら、「このズレは、いつか反対の調整で戻ってくるか?」と自問するのが近道です。減価償却の超過額は、いつか認容されて戻ってくる(だから留保)。交際費の損金不算入は、二度と戻らない(だから社外流出)。この「戻るか、戻らないか」という視点を持つと、初めて見る項目でも、区分を見抜けるようになります。

3. 加算項目の書き方 ― 多くは「他別表からの転記」

加算欄は、当期純利益にプラスする項目です。重要なのは、そのほとんどが、他の別表で計算した結果を転記するだけだという点です。代表的な欄を、転記元とともに並べます。

  • 区分2 損金経理をした法人税、地方法人税及び防衛特別法人税(留保)… 別表五(二)の「5の⑤」(損金経理による納付)から転記。
  • 区分3 損金経理をした道府県民税及び市町村民税(留保)… 別表五(二)の「10の⑤」「15の⑤」から転記。
  • 区分4 損金経理をした納税充当金(留保)… 別表五(二)の「31」から転記。後述のニワトリ卵問題のカギ。
  • 区分5 損金経理をした附帯税・加算金・延滞金・過怠税(社外流出)… 別表五(二)から転記。延滞税などのペナルティ。
  • 区分6 減価償却の償却超過額(留保)… 別表十六から転記。
  • 区分7 役員給与の損金不算入額(社外流出)… 定期同額給与などの要件を外れた分。
  • 区分8 交際費等の損金不算入額(社外流出)… 別表十五から転記。

ここで実務のコツを一つ。様式に印字されている欄を、すべて埋める必要はありません。自社に関係のある項目だけを記入します。たとえば中小企業で交際費が年800万円以下なら、損金不算入額はゼロなので、区分8は記載不要です(ただし、明細書である別表十五は提出が必要な点に注意)。

また、賞与引当金や未払金の否認など、決算特有の調整も、関係があれば加算の空欄に項目名を補って記入します。実務の流れとしては、まず別表五(二)(租税公課の納付状況)を作るのが定石です。区分2〜5の税金関係は、ほぼすべてこの別表五(二)から転記されるためです。別表五(二)で各税目の「損金経理による納付」「充当金取崩しによる納付」を整理しておけば、別表四の税金欄は、対応する数字を移すだけになります。税金まわりは、別表五(二)を起点に流れていく――この順番を押さえると、転記漏れが大きく減ります。

4. 減算項目の書き方

減算欄は、当期純利益からマイナスする項目です。こちらも転記が基本です。

  • 区分12 減価償却超過額の当期認容額(留保)… 過年度の償却超過が、当期に認められた分。別表十六から。
  • 区分13 納税充当金から支出した事業税等の金額(留保)… 前期末に未払計上した事業税を、当期に納めた分。事業税は損金なので減算する。別表五(二)の取崩額「35」(事業税及び特別法人事業税)などから転記。
  • 区分14 受取配当等の益金不算入額(社外流出)… 別表八(一)の「5」から転記。

法人税・住民税が「加算」なのに、事業税が「減算」で出てくるのは、事業税だけが損金になるから(基礎講座⑪で学んだ違い)。この非対称が、別表四を複雑に見せる一因ですが、理屈が分かれば迷いません。

5. 実務の要点「納税充当金」とニワトリ卵問題

別表四を初めて書く人が必ずぶつかるのが、「所得が決まらないと法人税が計算できない。でも、その法人税を別表四に加算しないと所得が確定しない」という循環です。鶏が先か卵が先か――この問題を解くのが、納税充当金(未払法人税等)という仕組みです。実務では、次の4ステップで処理します。

納税充当金で「ニワトリ卵問題」を解く 4ステップ 所得が決まらないと税額が出ない/税額を入れないと利益が確定しない この循環を、未払法人税等(納税充当金)で解消する 1 仮計算 当期の法人税等を計上する前の利益で、所得を仮に出す 2 税額確定 仮の所得から、法人税・住民税・事業税を計算する 3 決算反映 未払法人税等(納税充当金)を計上し、当期純利益を確定 4 別表四完成 区分1の利益を修正し、区分4の納税充当金を加算(留保) 確定分の法人税・住民税・事業税は、まとめて区分4「納税充当金」で加算(留保) → 別表五(一)・別表五(二)へ連動する

▲ 別表四が一度では完成しない理由と、納税充当金を使った4ステップの処理(①税金を除いた利益で所得を仮計算→②仮の所得から法人税・住民税・事業税を計算→③未払法人税等として決算に反映し当期純利益を確定→④区分1の利益修正と区分4の納税充当金加算で別表四を完成)を示した図。

ステップ1は、仮計算。まだ確定していない当期分の法人税等を計上する前の利益で、いったん所得を仮に出します。ステップ2は、その仮の所得をもとに、法人税・住民税・事業税を計算します。ステップ3は、計算した税額を「未払法人税等(納税充当金)」として決算に反映し、当期純利益を確定させます。ステップ4で、別表四に戻り、区分1の当期利益を確定値に修正し、同額を区分4「損金経理をした納税充当金」に加算(留保)します。これで、税金を計上する前の所得金額に一致し、別表四が完成します。

ポイントは、確定分の法人税・住民税・事業税は、まとめて区分4の納税充当金として加算(留保)されること。だからこそ、法人税・住民税の加算は社外流出ではなく「留保」なのです。なお、会計ソフトを使えば、この循環計算は自動で処理されますが、仕組みを理解しておくと、数字の検算や税務調査の対応で迷いません。

注意したい例外もあります。中間納付額が確定税額を上回り、還付が生じる年です。中間納付をどう経理したか(租税公課で費用にしたか、仮払金にしたか)や、決算で未収還付法人税等を計上したかによって、別表四・別表五(一)・別表五(二)の書き方が変わります(別表五(一)には「未収還付法人税等」の行(22〜24)があります)。会計ソフトの処理を確かめるか、税理士に確認するのが安全です。また、中間納付を損金経理している場合は、その中間分は区分2・3(損金経理をした法人税・住民税)に現れます。自社が「未払計上型」なのか「中間納付型」なのかで、どの欄に数字が立つかが変わる――この点も、別表五(二)とあわせて整理します。

6. 仮計から所得金額へ

加算・減算の小計を経て、別表四は「仮計」に至り、その後、寄附金の損金不算入額、法人税額から控除される所得税額(加算・社外流出)、繰越欠損金の当期控除額(別表七(一)から)などの調整を加えて、最終的に「所得金額」が確定します。この所得金額(総額①)が、別表一へと渡され、税額計算の出発点になります(所得金額の行は、令和8年4月1日以後終了事業年度分の様式では「52」に当たります。本記事の欄番号はこの様式によります。年度により欄番号が前後する場合があります)。

ここまでで、別表四そのものは完成です。次の記入例で全体像を確認したら、提出前に必ずやっておきたい「別表五(一)との検算」へ進みます。ここが、この記事でいちばん大切なところです。

7. 記入例:サンプル株式会社の別表四

最後に、おなじみのサンプル株式会社(Web制作業・資本金300万円・3月決算)で、記入例を確認します。前提は、当期純利益440万円、当期に償却超過額10万円、受取配当の益金不算入5万円、確定分の法人税・住民税・事業税の合計140万円を未払法人税等(納税充当金)として計上、配当はなし、とします(140万円は、所得585万円に対する法人税・地方法人税967,800円(実務講座②)に、法人住民税・法人事業税の概算を加えた金額です)。

区分総額①留保②社外流出③
1 当期利益4,400,0004,400,000 
4 損金経理をした納税充当金(加算)1,400,0001,400,000 
6 減価償却の償却超過額(加算)100,000100,000 
14 受取配当等の益金不算入額(減算)50,000 50,000
所得金額5,850,0005,900,000△50,000

加算(納税充当金140万円+償却超過10万円=150万円)はいずれも留保、減算(受取配当5万円)は社外流出です。結果、所得金額は585万円。3列の関係も、留保590万円+社外流出△5万円=総額585万円で、一致しています。この585万円が別表一へ渡り、税率をかけて法人税額が算出されます(基礎講座⑨で計算したとおりです)。留保項目である納税充当金140万円と償却超過10万円は、別表五(一)へ引き継がれ、翌期以降に向けて管理されていきます。

8. 別表四と別表五(一)の検算 ―「どこを足せば合うか」を確かめる

別表四を作ったら、対になる別表五(一)と数字が整合しているかを、必ず確認します。これを怠ると、留保/社外流出の区分ミスや転記漏れに気づけません。逆に、検算さえ通れば、別表四・別表五(一)・別表五(二)が一本の筋で整合している、という強い裏づけになります。ここは申告書の精度を左右する、いちばん大切な作業です。

検算式 ― 別表五(一)の余白に印刷されている公式

印刷された別表五(一)の左の余白には、「御注意 この表は、通常の場合には次の式により検算ができます。」として、次の式が載っています。これが、「どことどこを足せばOKなのか」の答えそのものです。

別表五(一)の期首の合計「31①」 + 別表四の留保の合計「52②」 − 当期の中間・確定の法人税・住民税の合計額 = 別表五(一)の期末の合計「31④」

検算式 ―「どことどこを足せばOK」 別表五(一)の余白に印刷された公式。 3つを足し引きして、期末「31④」と一致すればOK 別表五(一) 期首 31① 0 別表四 留保の合計 52② 695万 当期の法人税・ 住民税 (中間+確定) 125万 別表五(一) 期末 31④ 570万 + − = 0 + 695万 − 125万 = 570万 = 別表五(一)「31④」(570万) → 検算OK サンプル株式会社・設立第1期の例(税額は概算)。単位:円/万円

▲ 検算式の図。別表五(一)の期首「31①」に別表四の留保「52②」を足し、当期の中間・確定の法人税・住民税を引くと、別表五(一)の期末「31④」に一致することを示す。サンプルでは、0+695万円−125万円=570万円。

この式の左辺を計算して、それが別表五(一)の右下にある「31」の④(期末の利益積立金額の合計)と一致すれば、検算OKです。3つの数字は、それぞれ次の場所から取ってきます。

  • 別表五(一)の期首の合計「31①」 … 別表五(一)の「期首現在利益積立金額①」の列の合計(いちばん下の「31」の行)。前期の別表五(一)の「31④」が、そのまま当期の「31①」になります(前期からの引継ぎ)。設立1年目なら、ゼロです。
  • 別表四の留保の合計「52②」 … 別表四の所得金額の行の「留保②」。この記事の前半でずっと見てきた、あの「留保②」の合計です。検算では、所得金額(総額①)ではなく、この留保②を使う点に注意してください。
  • 当期の中間・確定の法人税・住民税の合計額 … 当期に発生した、未納の法人税・地方法人税(防衛特別法人税がある場合はそれも含みます)・住民税。別表五(一)の「未納法人税等」の増③に、△(マイナス)で立つ金額です。中間納付があれば、その分も含みます。なお、事業税はこの式には入りません。別表五(一)に「未納事業税」の行がないからです。

なぜ、この式で合うのか

理屈はこうです。別表四の「留保」は、その年に増えた(または減った)利益積立金そのものです。だから、期首の利益積立金に当期の留保を足せば、本来は期末の利益積立金になるはずです。ところが別表五(一)では、当期に納めることが確定した法人税・住民税が、「未納法人税等」として△で差し引かれています。これは、納税充当金(未払法人税等)の形でいったん利益積立金に含めた税金を、確定した納税義務として控除し直しているためです。この△の分を、検算式でも引いてそろえる――それが「− 当期の法人税・住民税」の意味です。これで左辺と右辺がそろいます。

サンプル株式会社で、実際に検算してみる

具体的な数字で、最後まで検算します。検算の練習として、もう一つの例を用意します。サンプル株式会社の設立第1期(3月決算)です。前提は次のとおり(税額は説明のための概算です)。

  • 期首の利益積立金額:設立初年度なので、すべてゼロ(「31①」= 0)。配当はなし。
  • 当期純利益(税引後):500万円。
  • 当期の留保項目:減価償却の償却超過額 30万円(加算・留保)。
  • 当期確定分の税金:法人税・地方法人税・住民税で125万円、事業税で40万円。合計165万円を、未払法人税等(納税充当金)として計上。
  • 中間納付:なし(設立1年目のため)。

ステップ1:別表四の「留保②」の合計を出す。

  • 当期利益 500万円(留保)
  • + 損金経理をした納税充当金 165万円(留保)
  • + 減価償却の償却超過額 30万円(留保)
  • = 留保②の合計「52②」 695万円

ステップ2:別表五(一)を作る。

区分期首①減②増③期末④
減価償却超過額0—30万30万
繰越損益金(25)00500万500万
納税充当金(26)0—165万165万
未納法人税・住民税(27・29・30)0—△125万△125万
差引合計(31)00570万570万

▲ サンプル株式会社の別表五(一)(設立第1期・税額は概算)。期首「31①」の0が検算の出発点、期末「31④」の570万円が検算の答え。増③の合計570万円は、別表四の留保695万円から未納の法人税・住民税125万円を引いた金額に一致する。事業税は別表五(一)に「未納」の行がないため、未納として控除するのは法人税・住民税のみ。繰越損益金の期末④は、貸借対照表の期末の繰越利益剰余金と一致する。

当期純利益500万円は繰越損益金(25)へ、納税充当金165万円はそのまま、減価償却の償却超過額30万円は留保項目として、それぞれ「増③」に入ります。そして、確定した法人税・住民税125万円が、「未納法人税等」として△で差し引かれます。結果、期末の合計「31④」は570万円になりました。「増③」の合計570万円が、別表四の留保695万円から未納の125万円を引いた金額に一致している点に注目してください。これがそのまま検算の関係です。

ステップ3:検算式に当てはめる。

  • 期首「31①」       = 0
  • + 別表四の留保「52②」  = 695万円
  • − 当期の法人税・住民税  = 125万円
  • = 0 + 695万 − 125万 = 570万円

左辺の答え570万円が、別表五(一)の期末「31④」(570万円)と一致しました。検算OKです。

試しに、もし法人税・住民税を誤って「社外流出」に分類していたら、どうなるでしょうか。別表四の留保②が125万円ぶん減って570万円になり、左辺は 0 + 570万 − 125万 = 445万円。別表五(一)の「31④」(570万円)と合いません。このように、検算は区分ミスを確実に見つけてくれます。基礎講座で触れたとおり、法人税・住民税は「留保」――ここを社外流出にすると、検算が合わなくなるのです。

会計ソフトを使えば、この検算は自動で行われ、合わなければエラーが出ます。ただし、なぜ合うのか、どこを直せばよいのかは、この式を理解していないと判断できません。最後は人の目で、「期首31① + 別表四の留保52② − 当期の法人税・住民税 = 期末31④」を確かめる――この一手間が、申告書の品質を守ります。

なお、完全支配関係のある会社間の寄附金など、会計処理を伴わずに別表五(一)へ直接記載する特殊な調整があると、この検算式は一致しないことがあります。とはいえ、中小企業の通常の申告では、まず該当しません。

まとめ:別表四を書くための要点

  • 別表四は「当期純利益(税引後)→所得金額」への変換表。縦は加算・減算、横は総額①・留保②・社外流出③(総額①=留保②+社外流出③)。
  • 最大の関門は留保/社外流出の区分。法人税・住民税・納税充当金は「留保」、交際費・役員給与・受取配当・附帯税は「社外流出」。
  • 加算・減算の多くは、別表五(二)・十六・十五・八(一)・七(一)から転記。別表四は、他別表を仕上げてから最後に作る。
  • 納税充当金を使った4ステップで、所得と税額の循環(ニワトリ卵問題)を解消する。
  • 作成後は、別表五(一)との検算を必ず行う。「期首31① + 別表四の留保52② − 当期の法人税・住民税 = 期末31④」が一致すればOK。合わなければ、区分ミスか転記漏れ。

別表四が書ければ、申告書の骨格は完成です。次は、ここで確定した所得金額をもとに税額を計算する別表一や、留保項目を引き継ぐ別表五(一)の書き方へ進むと、申告の全体像が手を動かすレベルで身につきます。

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※本記事は、2026年10月時点の情報をもとに、一般的な内容を分かりやすくまとめたものであり、個別の税務相談に応じるものではありません。会計・税務の具体的な取り扱いは状況により異なります。税制改正や様式変更により内容が変わる場合もありますので、正確な情報は国税庁のサイト・各別表の記載要領等でご確認いただくか、専門家へご相談ください。

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