別表五(二)は、会社が払う税金の「納付状況」を整理する明細書です。正式名称は「租税公課の納付状況等に関する明細書」。実務講座①で「税金まわりは、まず別表五(二)を作るのが定石」とお伝えした、あの別表です。地味な存在ですが、別表四の税金関係の数字も、別表五(一)の納税充当金も、もとをたどればこの別表五(二)に行き着きます。いわば、申告書の「税金の流れ」のハブです。
実務講座①②(別表四・別表一)を読んでいる前提で、別表五(二)の構成、つまずきやすい3つの納付列、納税充当金の計算、そして別表四・別表五(一)への連動を、サンプル株式会社の記入例つきで解説します。
1. 別表五(二)とは ― 税金の納付状況を整理する「必ず作る」別表
別表五(二)の役割は、国税庁の説明どおり、利益積立金額の計算上控除する法人税等の発生・納付の状況と、納税充当金の積立て・取崩しの状況を明らかにすることです。かみくだくと、「どの税金が、期首にいくら残っていて、当期にいくら発生し、当期にどう納め、期末にいくら残っているか」を、税目ごとに整理する表です。
一つ、大事な特徴があります。別表五(二)は、ほぼすべての法人が必ず作る別表だということ。法人住民税の均等割は、赤字の会社でも必ずかかります。つまり、租税公課の支払いは必ず発生するので、別表五(二)も必ず必要になります。交際費がなければ別表十五が不要、繰越欠損金がなければ別表七(一)が不要、というのとは違い、別表五(二)は「該当しなければ省略」ができません。提出漏れに注意しましょう。
そして、別表五(二)は別表四・別表五(一)と数字が連動します。別表四で所得を計算するとき、税金関係の加算・減算の数字は、そのほとんどがこの別表五(二)から転記されてきます。だからこそ、税金まわりは別表五(二)を起点に整理すると、転記漏れがぐっと減るのです。この別表四・別表五(一)・別表五(二)の3つは、行ったり来たりしながら、同時進行で仕上げるのが実務のコツです。
2. 全体の構成 ― 上段「納付状況」と下段「納税充当金」
別表五(二)は、大きく上下2つのパートに分かれています。

別表五(二)の構造:上段は税目ごとに①期首未納・②当期発生・③充当金取崩・④仮払・⑤損金経理・⑥期末未納で納付状況を整理し、下段は納税充当金の30期首+31繰入−取崩=41期末を計算する。41は貸借対照表の未払法人税等と一致。
▲ 別表五(二)の全体の構成を示した図。上段は税目(法人税・地方法人税/道府県民税/市町村民税/事業税・特別法人事業税/その他)ごとに、期首現在未納・当期発生・充当金取崩しによる納付・仮払経理による納付・損金経理による納付・期末現在未納の列で納付状況を整理し、下段は納税充当金(未払法人税等)の期首・繰入・取崩・期末の計算を行うことを示す。
上段は「租税公課の納付状況」。税目を縦に並べ、その税金が「期首→当期発生→当期の納付→期末」とどう動いたかを、横方向で追いかけます。
下段は「納税充当金の計算」。納税充当金(会計でいう「未払法人税等」)が、期首からどう積み立てられ、取り崩され、期末にいくら残ったかを計算します。上段で整理した納付状況の数字が、下段の計算に流れ込んでくる――この上下のつながりが、別表五(二)の骨格です。
3. 上段の読み方 ― ①〜⑥の列
上段は、税目(行)×6つの列(①〜⑥)でできています。列の意味は、次のとおりです。
- ①期首現在未納税額 … 期首の時点で、まだ納めていない税額。前期の別表五(二)の「⑥期末現在未納税額」が、そのまま当期の①になります(バトンタッチ)。
- ②当期発生税額 … 当期に発生した税額。中間分・確定分に分けて書きます。
- ③充当金取崩しによる納付 … 後述。
- ④仮払経理による納付 … 後述。
- ⑤損金経理による納付 … 後述。
- ⑥期末現在未納税額 … 期末時点で、まだ納めていない税額(=①+②−③−④−⑤)。
税目(行)は、法人税及び地方法人税/道府県民税/市町村民税/事業税及び特別法人事業税/その他。「その他」には、利子税や延滞税・加算税などが入ります。なお、事業税は他と少し扱いが違い、前期確定分を当期の「②当期発生」として書くなど、独特のクセがあります(後述の連動で効いてきます)。
もう少し具体的に見ておきましょう。法人税・地方法人税・道府県民税・市町村民税は、前期確定分が①期首現在未納に、当期の中間分・確定分が②当期発生に入ります。一方、事業税は、申告して初めて税額が確定する税金なので、前期確定分を①ではなく「②当期発生」の側に書く、という独特の並びになります。最初は戸惑いますが、「事業税だけは1年ずれる」と覚えておけば迷いません。また、道府県民税・市町村民税には、所得に関係なくかかる「均等割」が含まれます。赤字でも均等割は発生するため、別表五(二)には必ず数字が立つ――これが、別表五(二)を必ず作らなければならない理由でもあります。
4. つまずきポイント ― ③④⑤「どう納めたか」の3列
別表五(二)で最初に迷うのが、当期の納付を③④⑤のどこに書くか、です。これは「その税金を会計上どう処理して納めたか」で決まります。

当期の納付の3区分:未払法人税等を取り崩して納付なら③充当金取崩しによる納付、仮払金で経理なら④仮払経理による納付、租税公課で費用計上して納付なら⑤損金経理による納付。会計処理で入る列が変わる。
▲ 当期中の納付を3つに区分する図。同じ税金の納付でも、未払法人税等(納税充当金)を取り崩して納付したなら充当金取崩しによる納付、仮払金として経理したなら仮払経理による納付、租税公課などで費用計上して納付したなら損金経理による納付に分かれることを示す。
- ③充当金取崩しによる納付 … 前期末に「未払法人税等(納税充当金)」として積んでおいた税金を、当期に取り崩して納付したケース。前期確定分の法人税・住民税・事業税を当期に納めるのが、その典型です。
- ④仮払経理による納付 … 納付額を「仮払金」などの資産科目で経理したケース。中間で還付が出るような場面で使いますが、通常の中小企業では空欄のことが多いです。
- ⑤損金経理による納付 … 「租税公課」などで費用計上して納付したケース。中間納付を費用処理した場合などがここに入ります。
要するに、同じ「納付」でも、決算でどう仕訳したかによって列が変わるのです。たとえば当期の中間納付ひとつとっても、「租税公課」で費用処理して納めたなら⑤損金経理による納付、未払法人税等を取り崩して納めたなら③充当金取崩しによる納付、というように入る列が変わります。そして、この③④⑤の区別が、次に説明する別表四との連動で決定的に効いてきます。
5. 下段「納税充当金の計算」
下段では、納税充当金(未払法人税等)の1年間の動きを計算します。主な欄は次のとおりです。
- 期首納税充当金(30) … 期首の残高。前期末の貸借対照表に載っていた「未払法人税等」の額です。
- 損金経理をした納税充当金(31/繰入額) … 当期の決算で、未払法人税等として新たに積んだ額。当期確定分の法人税・住民税・事業税の合計が、ここに入ります。
- 取崩額(34 法人税額等/35 事業税等) … 当期に取り崩した額。上段の「③充当金取崩しによる納付」の合計と一致します(34は法人税・住民税の取崩し、35は事業税の取崩しに対応します)。
- 期末納税充当金(41) … 期末の残高。41=30(期首)+31(繰入)−取崩額で計算します。
ここで、必ず確認したい検算があります。国税庁の手引にも書かれているとおり、「41 期末納税充当金」は、貸借対照表の「未払法人税等」と一致していなければなりません。ここがズレていたら、どこかで計上漏れや二重計上が起きているサインです。
6. 別表四・別表五(一)との連動 ― ここが最重要
別表五(二)の山場が、別表四との連動です。ポイントは、その税金が損金になるか・ならないかで、別表四での調整の向きが逆になること。

別表五(二)の連動:損金不算入の法人税・住民税は⑤損金経理を別表四で加算、損金算入の事業税は③④を別表四で減算、31繰入は区分4で加算(留保)。41期末納税充当金は別表五(一)の納税充当金へ、⑥期末未納は別表五(一)の未納法人税等へ連動。
▲ 別表五(二)と別表四・別表五(一)の連動を示した図。損金不算入の法人税・地方法人税・住民税は、損金経理による納付(⑤)を別表四で加算する。損金算入の事業税・特別法人事業税は、充当金取崩し・仮払による納付(③④)を別表四で減算する。納税充当金の繰入(31)は別表四で区分4として加算(留保)、期末納税充当金(41)は別表五(一)の納税充当金へ、期末未納(⑥)は別表五(一)の未納法人税等へ連動する。
損金不算入の税金(法人税・地方法人税・道府県民税・市町村民税)は、損益計算書で費用にしても税務上は損金になりません。そこで――
- ⑤損金経理による納付 … 費用にした分を、別表四で加算します(区分2・3)。
- ③充当金取崩し・④仮払による納付 … もともと費用にしていないので、調整は不要です。
損金算入の税金(事業税・特別法人事業税)は、逆になります。事業税は損金になるので――
- ⑤損金経理による納付 … 費用にした分は、そのまま損金でよいので、調整不要です。
- ③充当金取崩し・④仮払による納付 … 費用にしていないのに損金にできるので、別表四で減算します(区分13 納税充当金から支出した事業税等)。
さらに、納税充当金まわりの連動も押さえましょう。納税充当金の繰入(31)は、別表四の区分4「損金経理をした納税充当金」として加算(留保)します。そして、期末納税充当金(41)は別表五(一)の「納税充当金」へ、期末未納(⑥)の法人税・住民税は別表五(一)の「未納法人税等」へ、それぞれ連動します。別表五(二)→別表四→別表五(一)と、数字が一本の筋でつながっているのが見えてくるはずです。
7. 記入例:サンプル株式会社(第2期)
実務講座①の検算例で登場した、サンプル株式会社の設立第1期(期末の納税充当金165万円)の、翌期=第2期を例にします(金額は説明用の概算)。前提は次のとおり。
- 期首納税充当金:165万円(前期末の未払法人税等。内訳は法人税・地方法人税・住民税が125万円、事業税が40万円)。
- 当期、前期確定分165万円を、納税充当金を取り崩して納付(③充当金取崩しによる納付。法人税・住民税125万円、事業税40万円)。
- 当期確定分225万円(法人税・地方法人税・住民税180万円、事業税45万円)を、決算で未払法人税等に計上。
この動きを、下段の納税充当金の計算に当てはめると、こうなります。
| 納税充当金の計算 | 金額 |
| 期首納税充当金(30) | 1,650,000円 |
| + 繰入額(31 損金経理をした納税充当金) | 2,250,000円 |
| − 取崩額(34 法人税額等+35 事業税等) | 1,650,000円 |
| = 期末納税充当金(41) | 2,250,000円 |
期末の納税充当金41は225万円。これが、当期末の貸借対照表の「未払法人税等」と一致していれば、検算OKです。
そして、別表四への連動は次のとおりです。繰入額225万円は、別表四の区分4で加算(留保)。前期確定分の事業税40万円を当期に充当金取崩しで納めたので、この40万円は別表四の区分13で減算(留保)します。一方、法人税・住民税の充当金取崩し125万円は、損金不算入の税金なので、調整は不要です。実務講座①で見た「区分4の加算」と「区分13の減算」が、まさにこの別表五(二)から流れてきていた、というわけです。
さらに、期末納税充当金225万円は別表五(一)の「納税充当金」へ、当期確定分の法人税・住民税の期末未納180万円は別表五(一)の「未納法人税等」へ、それぞれ引き継がれます。別表五(二)で整理した数字が、別表四と別表五(一)の両方へ、漏れなく流れていくのが分かります。
8. 仕上げのチェックポイント
- 別表五(二)は必ず作る。均等割があるので、租税公課の支払いは必ず発生する。省略できない別表。
- ③④⑤は「どう経理して納めたか」で決まる。充当金取崩し・仮払・損金経理を取り違えると、別表四の調整がまるごとズレる。
- 41期末納税充当金=貸借対照表の未払法人税等。一致を必ず確認する。
- 損金算入か否かで、別表四の向きが逆。法人税・住民税は⑤を加算、事業税は③④を減算。事業税だけ扱いが違う点に注意。
会計ソフトを使えば、別表五(二)・別表四・別表五(一)の連動は自動で処理されます。それでも、「税金は、発生→納付(どう経理したか)→未払の残高、という流れで動き、損金になるかどうかで別表四の向きが変わる」という骨格を理解しておけば、数字が合わないときに原因を追え、税務調査でも自信を持って説明できます。
まとめ:別表五(二)を書くための要点
- 別表五(二)は「租税公課の納付状況」の明細書。赤字でも必ず作る。上段=納付状況(①〜⑥)、下段=納税充当金の計算。
- 当期の納付は、③充当金取崩し・④仮払・⑤損金経理の3列を、会計処理で使い分ける。
- 41期末納税充当金=貸借対照表の未払法人税等。一致を確認。
- 別表四連動は、損金不算入(法人税・住民税)は⑤を加算、損金算入(事業税)は③④を減算。納税充当金の繰入(31)は区分4で加算(留保)。
- 期末納税充当金(41)と期末未納(⑥)は、別表五(一)へ連動。別表五(二)→別表四→別表五(一)が一本でつながる。
別表五(二)で税金の流れを整理できたら、次は、その留保項目と税金が積み上がっていく先――別表五(一)(利益積立金額・資本金等の額の計算)へ進むと、申告書の「純資産まわり」が完成します。
- 前回:【法人税の実務講座③】e-Tax・eLTAXでの法人税の申告と納付のやり方をわかりやすく解説
- 次回:【法人税の実務講座⑤】別表五(一)の書き方・記入例をわかりやすく解説
あわせて読みたい
- 【法人税の実務講座①】別表四の書き方・記入例をわかりやすく解説
- 【法人税の理論講座④】留保と社外流出の違いをわかりやすく解説
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。記入例の金額は説明のための概算であり、税額は法人の状況により異なります。実際の申告にあたっては、最新の様式・記載要領を国税庁等で確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。