【法人税の実務講座⑧】別表十五(交際費等)の書き方をわかりやすく解説

交際費は、会社にとって必要な支出ですが、税務では特別な扱いを受けます。原則として、交際費は損金になりません(損金不算入)。ぜいたくな接待で税金を減らすことを防ぐためです。ただし、中小企業には大きな配慮があり、一定額までは損金にできます。この計算をするのが、別表十五です。

実務講座①〜⑦で、所得や税額、留保の項目(減価償却など)を見てきました。今回の交際費は、実務講座①⑤で学んだ「社外流出」の代表例。留保とは違う動きをするところが、ポイントです。サンプル株式会社の記入例つきで解説します。

目次

1. 別表十五とは ― 交際費の損金不算入額を計算する

別表十五は、正式名称を「交際費等の損金算入に関する明細書」といいます。交際費等のうち、損金にできる限度額と、損金にできない金額(損金不算入額)を計算する別表です。計算した損金不算入額は、別表四で加算されます。

そもそも交際費等とは、得意先・仕入先など、事業に関係のある者への接待・供応・慰安・贈答などのために支出する費用のこと。取引先との会食、お中元・お歳暮、取引先の慶弔費などが典型です。これらは原則損金不算入なので、別表十五で「いくらまで損金にできるか」を計算して、はみ出した分を別表四へ送ります。

なぜ交際費だけ、このように厳しい扱いを受けるのでしょうか。交際費は、社外への接待や贈答に流れやすく、過度な支出は冗費(無駄づかい)につながりやすいと考えられてきました。そこで、原則は損金不算入として歯止めをかける――これが制度の趣旨です。ただし、取引先との関係づくりは事業に欠かせないため、中小企業には年800万円までという広い枠が用意されています。別表十五は、いわば別表四の加算項目の根拠資料。別表四の加算欄に「交際費等の損金不算入額」を入れるとき、その金額の計算過程を示すのが、この別表十五です。

2. 損金算入のルール ― 会社の規模で変わる

交際費をどこまで損金にできるかは、会社の規模(資本金)で変わります。

交際費の損金算入ルール ― 会社の規模で変わる 交際費は原則 損金不算入。中小法人には年800万円までという広い枠がある 中小法人 (資本金1億円以下) 年800万円まで 全額損金算入 または接待飲食費の 50%損金算入(選択) 資本金1億円超 〜100億円以下 接待飲食費の 50%のみ 800万円の枠はなし 資本金 100億円超 全額 損金不算入 交際費等は全額が 別表四で加算 ※ 中小でも資本金5億円以上の法人の100%子法人等は800万円特例の対象外。 適用期限は令和9年3月31日までに開始する事業年度(2026年10月時点)

▲ 交際費の損金算入ルールを会社の規模別に示した図。資本金1億円以下の中小法人は年800万円まで全額損金算入または接待飲食費の50%損金算入の選択、資本金1億円超〜100億円以下は接待飲食費の50%のみ損金算入、資本金100億円超は全額損金不算入であることを表す。

  • 中小法人(資本金1億円以下) … 次の2つから有利な方を選べます。①年800万円(定額控除限度額)まで全額損金算入、②接待飲食費の50%を損金算入。多くの中小企業では、交際費が年800万円に満たないので、①を選べば全額が損金になります。
  • 資本金1億円超〜100億円以下 … 接待飲食費の50%だけが損金算入できます(800万円の枠はありません)。
  • 資本金100億円超 … 交際費等は全額損金不算入です。

なお、資本金1億円以下でも、資本金5億円以上の法人の100%子会社などは、800万円の特例から除かれます。また、この特例には適用期限があり、現在は令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度まで延長されています。

ここで出てきた「接待飲食費」とは、交際費等のうち、社外の人との飲食のために支出した費用で、帳簿に所定の事項を記載したものをいいます(社内だけの飲食=社内飲食費は除きます)。中小法人は800万円控除と接待飲食費50%のどちらでも選べますが、通常は800万円控除のほうが有利です。接待飲食費が1,600万円を超えるような会社でない限り、800万円まで全額損金にできる①のほうが、損金にできる額が大きくなるからです。なお、年800万円は月あたり約66万円。日々の経理で交際費の累計を月次で把握しておけば、期末に「800万円を超えそう」と慌てることもありません。

3. 1人1万円以下の飲食費は、そもそも交際費から外れる

交際費の計算の前に、押さえておきたい大事なルールがあります。社外の人との飲食費で、1人当たり10,000円以下のものは、そもそも交際費等から除かれ、全額損金にできるのです。

1人1万円基準 ― 社外飲食費は交際費から外れることも 社外の人との飲食費が1人1万円以下なら、そもそも交際費等にならない 社外の人との飲食費(1人当たり) 1万円以下 交際費等から除外 = 全額損金(会議費等) 1万円超 全額が交際費等 (超過分だけでなく全額) ★ 令和6年4月1日以後の支出から「1万円以下」(それ以前は5,000円以下) ※ 社内飲食費(役員・従業員だけの飲食)は除外の対象外。 参加者・人数・金額・店名等の書類保存が要件。税込・税抜は経理方式による

▲ 1人1万円基準を示した図。社外の人との飲食費のうち1人当たり10,000円以下のもの(令和6年4月1日以後の支出。それ以前は5,000円以下)は交際費等から除外され全額損金になるが、1人当たり10,000円を超えると超過分だけでなく全額が交際費等に該当すること、社内飲食費は除外されないことを示す。

ここで、近年の大きな改正点があります。この基準は従来1人5,000円以下でしたが、令和6年(2024年)4月1日以後に支出する飲食費から、1人10,000円以下に引き上げられました。取引先との会食が1人1万円以内に収まれば、交際費の枠を使わずに全額損金にできる、ということです。

ただし、注意点が3つ。1つめは、1人当たり10,001円になると、超えた分だけでなく、その飲食費の全額が交際費等になること。「1万円ちょうど」までが分かれ目です。2つめは、社内の役員・従業員だけの飲食(社内飲食費)は、この除外の対象にならないこと。3つめは、この扱いを受けるには、参加者の氏名・関係、人数、金額、店名などを記載した書類の保存が必要なこと。なお、1人当たりの金額は、税込経理なら税込、税抜経理なら税抜で判定します。

なお、ここでいう飲食費には、会食そのものの費用だけでなく、会場のテーブルチャージや、取引先に持ち帰ってもらうお土産代なども含まれます。一方、ゴルフ・観劇・旅行などの催事に伴う飲食は、飲食が主目的とはいえないため、飲食費ではなく催事の費用(交際費)として扱われます。線引きに迷ったら、「その支出は飲食が主目的か」を基準に考えると整理しやすくなります。

4. 別表四との連動 ― 損金不算入は「社外流出」

別表十五で計算した損金不算入額は、別表四で加算します。ここで大事なのが、この加算が「社外流出」だということです。

交際費は、接待や贈答で会社の外へ出ていき、二度と戻ってきません。実務講座①⑤で学んだとおり、社外流出は会社の中に残らないので、別表五(一)には積み上がりません。減価償却超過額のような「留保」が、別表五(一)に積み上がって将来取り崩されていくのとは、対照的です。交際費の損金不算入額は、その年に加算されて終わり――この「社外流出だから別表五(一)に出てこない」という点が、交際費の連動の特徴です。

なぜ留保と社外流出で扱いが違うのか、復習しておきます。減価償却超過額のような留保は、会社の中に残っていて、いつか解消される「タイミングのズレ」でした。だから別表五(一)に積み上げて管理します。一方、交際費の損金不算入額は、お金が会社の外へ出てしまい、将来取り戻すことも、損金になることもありません。永久に損金にならない「打ち切り」なので、別表五(一)で管理する必要がないのです。

別表四では、この加算を区分8「交際費等の損金不算入額」として、社外流出の欄に記載します。実務講座①で見た別表四の加算欄に、減価償却超過額(留保)と交際費(社外流出)が並ぶ――同じ「加算」でも、留保と社外流出で、その後の行き先(別表五(一)に残るか、消えるか)が分かれる。別表十五は、その社外流出の代表例を計算する別表だ、と捉えると位置づけがはっきりします。

5. 別表十五の書き方

別表十五の計算は、シンプルです。まず、当期に支出した交際費等の額を集計します(1人1万円以下の飲食費は、ここに含めません。帳簿上は交際費の科目に入れている場合は、明細の「7」交際費等の額から控除される費用の額に書き、「8」差引交際費等の額で差し引きます)。このとき、接待飲食費がいくらか(「9」)も内訳として記載します。

次に、損金算入限度額(「4」)を出します。中小法人は、「2」接待飲食費の50%(支出接待飲食費損金算入基準額)と「3」800万円の定額控除限度額のどちらかを選んで「4」に書きます。800万円の定額控除を選ぶなら、限度額は800万円(事業年度が1年の場合)。事業年度が1年に満たないときは月割で、800万円 × 事業年度の月数 ÷ 12 が限度額になります(設立初年度で6か月なら400万円)。

そして、支出交際費等(「1」) − 損金算入限度額(「4」) = 損金不算入額(「5」)。これがプラスなら、その金額を別表四で加算(社外流出)します。支出交際費等が800万円以下なら、損金不算入額は0円。この場合でも、特例を使うために別表十五は添付します(定額控除は、申告書に明細書の添付がある場合に限り適用されます。租税特別措置法61条の4)。

別表十五には、支出した交際費等の総額を書く欄と、そのうち接待飲食費の額を書く欄(内書き)があります。接待飲食費を内書きしておくのは、800万円控除ではなく接待飲食費50%のほうを選ぶときに、その50%を計算するためです。中小法人で800万円控除を選ぶなら、実務上は総額と限度額800万円を並べて、差額(損金不算入額)を出す、という流れになります。

6. 記入例:サンプル株式会社

サンプル株式会社(資本金300万円・中小法人)の当期の交際費等が、600万円だったとします(うち接待飲食費400万円。1人1万円以下の飲食は会議費として別管理し、ここには含めていません)。

項目(別表十五の欄)ケースA:交際費 600万円ケースB:交際費 900万円
支出交際費等の額(「1」)6,000,000円9,000,000円
− 損金算入限度額(「4」定額控除 800万円)8,000,000円8,000,000円
= 損金不算入額(「5」)0円1,000,000円
別表四への加算(区分8・社外流出)なし(全額損金)1,000,000円を加算

▲ サンプル株式会社(資本金300万円・中小法人・定額控除800万円)の別表十五の記入例。交際費等600万円は定額控除限度額800万円以下なので損金不算入額は0円で、別表四での加算はない。仮に交際費等が900万円なら、800万円を超える100万円が損金不算入となり、別表四で社外流出として加算される(社外流出のため別表五(一)には積み上がらない。説明用の概算)。

サンプル株式会社は中小法人なので、800万円の定額控除を選びます。損金算入限度額は800万円。支出交際費等(「1」)600万円は、限度額(「4」)800万円以下なので、損金不算入額(「5」)は0円。別表四での加算はありません。サンプルのような規模の会社では、交際費が800万円を超えることはまれなので、実際には全額が損金になるケースがほとんどです。

では、もし交際費が900万円だったらどうでしょう。限度額800万円を超える100万円が損金不算入になり、別表四で加算(社外流出)100万円。この100万円は社外流出なので、別表五(一)には出てきません。実務講座①で「社外流出は別表五(一)に積み上がらない」と説明した、その具体例がこれです。

このように、中小企業にとっての交際費は、まず「800万円という大きな枠に収まっているか」を確認するのが出発点です。収まっていれば、別表十五は形式的に作るだけで、別表四への加算は発生しません。枠を超えそうなときに初めて、1人1万円基準の活用(会食を1人1万円以内に収め、社内飲食費とは区分して記録する)が検討材料になります。

7. 仕上げのチェックポイント

  • 交際費は原則損金不算入。中小は年800万円まで全額損金(または接待飲食費の50%の選択)。多くの中小企業は800万円の枠内に収まる。
  • 1人1万円以下の社外飲食費は交際費から除外(令和6年4月以後。それ以前は5,000円)。1万円超は全額が交際費。書類の保存が要件。
  • 損金不算入額は別表四で加算(社外流出)。留保ではないので、別表五(一)には出てこない。
  • 隣接費用との区別に注意。会議費・福利厚生費・広告宣伝費・売上割戻しなどは交際費とは別。区分を誤ると損金算入額が変わる。特例を使う年は別表十五の添付を忘れない。

隣接費用との区別を、もう少し具体的に見ておきます。同じ支出でも、もっぱら社内の従業員の慰安(全員参加の社員旅行・忘年会など)は福利厚生費、会議に伴う茶菓・弁当は会議費、不特定多数へのカレンダーや試供品は広告宣伝費、取引先への売上割戻し(リベート)は交際費ではなく売上のマイナス、というように、近い費用でも科目が分かれます。交際費に含めるべきものを会議費にすると過少申告に、逆に会議費でよいものを交際費にすると損金算入の枠を無駄に使うことになります。会食の領収書には、その場で参加者と人数をメモしておくと、後の判定が格段に容易になります。

会計ソフトを使えば、交際費の集計から別表十五、別表四への加算まで自動で処理されます。それでも、「交際費は原則損金不算入、中小は800万円まで、1人1万円以下の飲食は別枠、不算入額は社外流出」という骨格を理解しておけば、会食のたびに『これは交際費か会議費か』を正しく判断でき、無駄な損金不算入を防げます。

会食のあとに「今日は1人いくらだったか」を確認する習慣をつけるだけで、年間の交際費管理の精度は大きく上がります。

まとめ:別表十五を書くための要点

  • 別表十五は、交際費の損金不算入額を計算する別表。交際費は原則損金不算入。
  • 中小は年800万円まで全額損金(または接待飲食費の50%)。1億円超〜100億円以下は飲食費50%、100億円超は全額不算入。
  • 1人1万円以下の社外飲食費は交際費から除外=全額損金(令和6年4月以後。それ以前5,000円)。1万円超は全額交際費。
  • 損金不算入額(支出交際費等−限度額)は、別表四で加算(社外流出)。留保ではないので別表五(一)には積み上がらない。
  • 支出交際費等が800万円以下でも、特例を使う年は別表十五を添付する。

別表四・一・五(二)・五(一)・七(一)・十六に、この別表十五を加えると、留保(減価償却)と社外流出(交際費)の代表例がそろい、別表四の加算・減算の主な顔ぶれが見えてきます。次は、社外流出の「減算」側の代表である受取配当等の益金不算入(別表八(一))へ進むと、別表四の調整がさらにくっきりします。

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※ 本記事は2026年10月時点の情報にもとづく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談に応じるものではありません。記入例の金額は説明のための概算であり、取扱いは法人の状況や様式により異なります。交際費の金額基準・適用期限は改正されることがあります。本記事の欄番号は、令和8年4月1日以後終了事業年度分の様式(国税庁)によります。実際の申告にあたっては、最新の様式・記載要領を国税庁等で確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。

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