【法人税の実務講座⑪】別表二(同族会社の判定)の書き方をわかりやすく解説

会社をつくると、決算のたびに必ず作る別表があります。それが、別表二「同族会社等の判定に関する明細書」です。日本の中小企業のほとんどは「同族会社」に当たるため、自社が同族会社かどうかを毎年判定し、その根拠を示すのが別表二の役割です。

「同族会社」と聞くと、家族だけで経営している会社というイメージを持つかもしれません。でも、税法上の同族会社は、もっと広い意味です。社長ひとりの会社でも、夫婦だけの会社でも、たいていは同族会社に当たります。今回は、サンプル株式会社を例に、別表二で何を判定し、どう書くのか、そして同族会社だと何が変わるのかを、噛み砕いて解説します。

目次

1. 別表二とは ― 同族会社かどうかを判定する明細書

別表二は、正式名称を「同族会社等の判定に関する明細書」といいます。自社が、①同族会社(法人税法2条10号)に当たるか、さらに②特定同族会社(法人税法67条)に当たるかを判定し、その計算根拠を示すための別表です。

なぜ、わざわざ判定するのでしょうか。同族会社は、株主と経営者が一体になりやすく、利益操作によって税負担を不当に軽くしやすい――税法はそう考えています。そこで、同族会社には、ほかの会社にはない特別なルールをいくつか用意しています。そのルールを適用すべき会社かどうかを、毎年はっきりさせておくのが別表二です。判定結果は、①特定同族会社、②同族会社、③非同族会社のいずれかになります。

別表二は、上半分が「判定基準となる株主等の株式数等の明細」、下半分が判定割合と判定結果の欄、という構成です。上半分で株主を書き出してグループごとに集計し、下半分でその割合から、同族会社・特定同族会社・非同族会社のどれに当たるかを判定します。難しそうに見えますが、やっていることは「誰が、どれだけ株を持っているか」を整理して割合を出すだけです。

2. 同族会社とは ― 上位3グループで50%超

同族会社の判定は3ステップ:株主を特殊の関係にある者ごとにグループ化し、大きい順に上位3グループまでを抽出し、その合計が発行済株式(または議決権)の50%超なら同族会社、50%以下なら非同族会社。

▲ 同族会社の判定が3ステップであることを示した図。まず株主を特殊の関係にある者ごとにグループ化し、次に持株割合の大きい順に上位3グループまでを抽出し、最後にその合計が発行済株式(または議決権)の総数の50%超かどうかで、同族会社か非同族会社かを判定する流れを表す。

税法上の同族会社とは、上位3つの株主グループが、発行済株式の総数(または議決権の総数)の50%超を持っている会社をいいます。ポイントは2つ。「上位3グループまで」で見ることと、「50%超」であることです。

まず、株主を「グループ」にまとめます。ここでいうグループは、株主本人だけでなく、その株主と特殊の関係にある人や会社をひとまとめにしたものです(グループの作り方は次の章で詳しく説明します)。次に、グループごとの持株割合を計算し、大きい順に並べて、上位3グループまでの合計を出します。その合計が50%を超えていれば、同族会社です。4位以下のグループは判定に使わないので、書き出す必要もありません。

「50%超」という基準は厳密で、ちょうど50%では同族会社になりません。50%をわずかでも超えると、役員の選任・解任や配当の決議など、会社の重要な意思決定を自分たちだけで通せる「支配」が成り立つからです。判定は、株式数の割合・議決権の割合・(持分会社なら)社員数の割合のうち、いちばん高い割合を使います。

たとえば、株主が社長ひとりだけなら、その時点で持株割合100%なので同族会社です。社長と配偶者の2人だけでも、2人は親族として1つのグループにまとまるので、合計100%でやはり同族会社になります。日本の中小企業のほとんどが同族会社になるのは、このためです。逆に、資本が広く分散していて、上位3グループを合計しても50%を超えない会社だけが、非同族会社になります。

3. 株主グループの作り方 ― 特殊の関係にある者

別表二でいちばん間違えやすいのが、グループの作り方です。グループは、株主本人と、その株主と「特殊の関係にある者」をひとまとめにします。この「特殊の関係にある者」の範囲が、思っているよりずっと広いのです。

特殊の関係にある者には、おもに次のような人・会社が含まれます。配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族といった親族。事実上の婚姻関係にある者。株主から受け取るお金で生計を立てている人。そして、その株主が50%超を持って支配している別の会社です。6親等内の血族にはいとこやその子まで含まれ、3親等内の姻族には義理の祖父母や叔父・叔母まで含まれます。日常の親戚付き合いの感覚より、はるかに広い範囲だと考えておきましょう。

ここを取り違えると、判定そのものが変わってしまいます。たとえば、別々の人が持っているように見えても、親子や夫婦であれば1つのグループに合算します。逆に、まとめてはいけないものもあります。代表例が従業員持株会です。持株会は、それ自体を1人の株主とは数えず、会員である従業員それぞれを別々の株主として扱うのが原則です。会員どうしや、会員とオーナー一族との間に特殊の関係がなければ、それぞれが独立したグループになります。グループの分け方ひとつで結論が覆ることもあるので、株主名簿をもとに、誰と誰が特殊の関係にあるかを丁寧に確認することが大切です。

実務では、株主名簿に「続柄」や「関係」をメモしておくと、毎年の判定がぐっと楽になります。新しく株主が増えたとき、既存の株主と特殊の関係にあるかどうかを記録しておけば、グループ化の判断を毎回ゼロからやり直さずに済みます。

4. 特定同族会社とは ― 1グループで50%超

非同族会社・同族会社・特定同族会社は、支配の強さで外側から内側へ入れ子になった関係。いちばん外が非同族会社、その内側が上位3グループで50%超の同族会社、いちばん内側が上位1グループだけで50%超の特定同族会社。

▲ 非同族会社・同族会社・特定同族会社が入れ子の関係であることを示した図。いちばん外側が支配の弱い非同族会社、その内側が上位3株主グループで50%超を保有する同族会社、いちばん内側が上位1株主グループだけで50%超を保有する、もっとも同族色の濃い特定同族会社であることを表す。

同族会社の中でも、さらに支配が強い会社が「特定同族会社」です。同族会社が「上位3グループで50%超」だったのに対し、特定同族会社は「上位1グループだけで50%超」を持っている会社をいいます(正確には、こうした被支配会社のうち一定のもの)。1つのグループだけで会社を完全に支配している、いちばん同族色の濃い会社です。

別表二では、同族会社の判定割合(上位3グループの合計)とは別に、特定同族会社の判定割合(上位1グループ)も計算します。両方の割合を出して、判定結果の欄で次のように決めます。

  • 特定同族会社の判定割合が50%超 … 特定同族会社
  • 上の割合が50%以下で、同族会社の判定割合が50%超 … 同族会社
  • 同族会社の判定割合が50%以下 … 非同族会社

判定結果の欄では、該当するもの1つに○を付けます。特定同族会社にも同族会社にも当てはまるとき(1グループで50%超なら、上位3グループの合計も当然50%超になります)は、いちばん内側の特定同族会社に○を付けるのがルールです。同族会社のうち、特定同族会社の判定割合が50%以下のものだけが「同族会社」、上位3グループでも50%に届かないものだけが「非同族会社」になります。

5. 同族会社の3つの特別規定

同族会社の3つの特別規定。みなし役員(経営に従事する一定の親族等は税務上の役員扱い)、行為計算の否認(税負担を不当に減らす取引は正常額で計算し直される)、留保金課税(特定同族会社が対象だが、中小企業は適用除外)。

▲ 同族会社に適用される3つの特別規定を示した図。1つめは「みなし役員」で、経営に従事し一定の所有割合を満たす親族等は税務上の役員として扱われること、2つめは「同族会社の行為計算の否認」で、税負担を不当に減らす取引は税務署が正常な金額で計算し直せること、3つめは「特定同族会社の留保金課税」で、特定同族会社が対象だが資本金1億円以下の中小企業は適用除外であることを表す。

同族会社だと判定されると、ほかの会社にはない3つの特別なルールが関わってきます。

1つめは、みなし役員です。会社法上は役員でない人でも、税法では役員とみなされることがあります。たとえば、登記上は役員でない社長の配偶者でも、経営に従事していて、一定の所有割合(その人の属するグループが同族判定の基礎になっている・そのグループが10%超・本人と配偶者などで5%超)を満たすと、みなし役員になります。みなし役員になると、その人への給与や賞与は、役員給与のルール(定期同額給与など)に縛られ、賞与が損金不算入になることもあります。家族を従業員として雇っているつもりが、税務上は役員扱いになっていた、という落とし穴です。

2つめは、同族会社の行為計算の否認です。同族会社が、税負担を不当に減らすような取引をした場合、税務署はその取引を正常な金額に引き直して計算し直すことができます(法人税法132条)。たとえば、社長の親族に相場よりずっと高い家賃を払う、無利息でお金を貸す、といった取引が対象になり得ます。同族会社は身内どうしで条件を自由に決めやすいからこそ、こうした歯止めが置かれています。

3つめが、特定同族会社の留保金課税です。これは特定同族会社だけが対象で、利益を配当せず会社に貯め込んだとき、通常の法人税とは別に特別な税金がかかる仕組みです。ただし、ここがいちばん大事なのですが、中小企業はこの留保金課税が原則かからないようになっています。次の章で詳しく見ましょう。

6. 留保金課税と中小企業の適用除外

留保金課税(特定同族会社の特別税率)は、特定同族会社が一定額を超えて利益を社内に留保したとき、その超えた部分(課税留保金額)に特別税率をかける制度です。税率は、課税留保金額のうち3,000万円以下の部分が10%、3,000万円超〜1億円以下が15%、1億円超が20%です。通常の法人税に上乗せされる形で課税されます。

なぜこんな制度があるのか。オーナー社長は、配当を受け取ると個人の所得税(累進)が重くなるため、あえて配当せず会社に利益を貯め込みがちです。それを放置すると、配当した場合との税負担の差が大きくなりすぎるので、貯め込んだ利益に追加で課税して調整する、という趣旨です。

ただし、期末の資本金が1億円以下の会社は、この留保金課税が適用されません(適用除外)。多くの中小企業は資本金1億円以下なので、特定同族会社に当たっても、留保金課税は実際にはかからないのが普通です。例外は、資本金5億円以上の大法人に100%支配されている子会社で、この場合は資本金1億円以下でも適用されます。

つまり、別表二で「特定同族会社」と判定されても、資本金1億円以下の独立した中小企業なら、留保金課税の心配はほぼ無用ということです。とはいえ、同族会社・特定同族会社という判定そのものは、みなし役員や行為計算の否認にも関わります。「留保金課税がかからないから別表二はどうでもいい」とはならず、判定の記載自体はきちんと必要です。

7. 記入例:サンプル株式会社

サンプル株式会社の判定。社長Aが80%、配偶者Bが20%。AとBは親族で1グループ(社長グループ)に合算し100%。上位3グループの合計も上位1グループも100%で50%超のため、判定結果は特定同族会社。ただし資本金300万円のため留保金課税は適用除外。

▲ サンプル株式会社の同族判定を示した図。社長Aが80%、配偶者Bが20%を保有し、AとBは親族のため1つの社長グループに合算されて100%となること、上位3グループの合計(同族会社の判定割合)も上位1グループ(特定同族会社の判定割合)も100%で50%超のため特定同族会社に該当すること、ただし資本金300万円のため留保金課税は適用除外であることを表す。

サンプル株式会社で、別表二を書いてみましょう。株主は、社長Aが80%、その配偶者Bが20%を持っているとします。資本金は300万円です。

まず、株主をグループにまとめます。AとBは配偶者どうしで特殊の関係にあるため、2人で1グループ(社長グループ)です。社長グループの持株割合は、80%+20%=100%。株主はこのグループだけなので、上位グループの合計も100%です。

同族会社の判定割合(上位3グループの合計)は100%。50%超なので、同族会社に当たります。さらに、特定同族会社の判定割合(上位1グループ)も100%。こちらも50%超なので、判定結果の欄では、いちばん内側の「特定同族会社」に○を付けます。

ここで効いてくるのが、第6章の適用除外です。サンプル株式会社の資本金は300万円で、1億円以下。大法人の100%子会社でもありません。したがって、特定同族会社ではあっても、留保金課税は適用されません。別表二で特定同族会社に○を付けつつ、留保金課税の計算(別表三(一))は不要、というのが、典型的な中小企業の姿です。

記入の手順をまとめると、こうなります。①上半分の明細に株主A・Bを書き、特殊の関係(配偶者)を踏まえて社長グループに集計する。②グループの持株割合から、同族会社の判定割合(上位3グループ)と特定同族会社の判定割合(上位1グループ)を計算する。③下半分の判定結果の欄で、該当する「特定同族会社」に○を付ける。会計ソフトなら、株主情報を登録するだけでこの判定割合と判定結果が自動で表示されます。

8. 仕上げのチェックポイント

  • 同族会社は「上位3グループで50%超」、特定同族会社は「上位1グループで50%超」。ちょうど50%は同族会社にならない(50%「超」が要件)。判定は株式数・議決権・社員数の割合のうち最も高いもので行う。
  • グループは、株主本人+特殊の関係にある者でまとめる。配偶者・6親等内の血族・3親等内の姻族・生計を共にする者・支配下の会社などを合算。従業員持株会は会員ごとに別々に数える。
  • 判定結果は、特定同族会社・同族会社・非同族会社の1つに○。特定にも同族にも当たるときは、いちばん内側の特定同族会社に○を付ける。
  • 同族会社の特別規定は3つ(みなし役員・行為計算の否認・留保金課税)。留保金課税は特定同族会社だけが対象で、資本金1億円以下なら適用除外(大法人の100%子会社を除く)。

会計ソフトを使えば、株主情報を登録するだけで別表二の判定割合や判定結果は自動で出ます。それでも、「同族会社=上位3グループで50%超」「特定同族会社=上位1グループで50%超」「中小は留保金課税が適用除外」という骨格を理解しておけば、家族に役員給与を払うときのみなし役員の確認や、親族との取引が妥当な金額かのチェックなど、判定の先にある実務まで自分で見通せます。別表二は、ただの判定書類ではなく、同族会社ならではのルールの入口なのです。

まとめ:別表二を書くための要点

  • 別表二は、自社が同族会社・特定同族会社・非同族会社のどれかを判定する明細書。日本の中小企業のほとんどが同族会社。
  • 同族会社=上位3株主グループで発行済株式(または議決権)の50%超特定同族会社=上位1グループで50%超。ちょうど50%は非該当。
  • グループは株主本人+特殊の関係にある者でまとめる。範囲は広い(6親等内の血族・3親等内の姻族など)。従業員持株会は会員ごとに数える。
  • 同族会社には3つの特別規定(みなし役員・同族会社の行為計算の否認・留保金課税)。
  • 留保金課税は特定同族会社だけが対象だが、資本金1億円以下の中小企業は適用除外(大法人の完全子会社を除く)。判定結果が特定同族会社でも、中小なら留保金課税はかからないのが普通。

実務講座①〜⑪で、申告書本体(別表一・四・五(一)・五(二))、留保と社外流出の代表例(減価償却・交際費・受取配当)、繰越欠損金、所得税額控除、そして同族会社の判定まで、中小企業の法人税申告に必要な主要別表と論点が一通りそろいました。次は、別表とあわせて必ず提出する添付書類――取引先や残高の内訳を示す勘定科目内訳明細書へ進むと、申告書一式の全体像が完成に近づきます。

  • 前回:【法人税の実務講座⑩】別表六(一)(所得税額控除)の書き方をわかりやすく解説
  • 次回:【法人税の実務講座⑫】勘定科目内訳明細書の書き方をわかりやすく解説

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  • 【法人税の基礎講座⑥】役員給与・交際費の損金不算入をわかりやすく解説

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。記入例の金額・株主構成は説明のための想定であり、取扱いは法人の状況や様式により異なります。同族会社の判定や留保金課税の取扱いは改正されることがあります。実際の申告にあたっては、最新の様式・記載要領を国税庁等で確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。

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